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基礎を学ぶのに年令は関係ない

この2枚のデッサンはそれぞれ10代と60代の生徒が本校で描いた石膏デッサンです。どちらも以前に本格的にデッサンを学んだ経験はありませんでしたが、創作人形科、油絵科のマスターコースで半年〜1年間学びました。
※マスターコースでは全科共通で通常授業以外のデッサンやクロッキーなどの公開講座を受けることができます。本スクールでは自分の創りたいモノを頭の中で正確にイメージできる力を養うにはデッサンを上達させることが最良だと考えています。一般的に日本で行われているような、始めから表現を多様化してしまう「現象的な明暗」を追わず、「線描」によって正確な量と形を捉えることからはじめます。

10代のデッサン

60代のデッサン

デッサン参考作品

線描から明暗とボリュームの表現へ
石膏デッサン1(画用紙・鉛筆/20代生徒作品)

白い紙に背景なしでデッサンをする場合、光の当たった側の輪郭は弱く感じますが、輪郭線を実際より強めに引かないと、石膏像は地から浮かび上がってきません。現実には輪郭線は存在しませんが、これは背景よりも像を明るく見せるための高度な造形手段なのです。また、中間の調子を追いすぎてもコントラストを失い、明るい像の印象を失いますし、背景の方が明るく(突出して)見えてしまいます。

※再現を目的とする場合、実寸を大きく超えないのが前提(これを実像表現と言います)なので画面より像が大きい場合は縮小されますが、小さい場合はほぼ実寸で描くため、余白が出ます。実寸よりかなり大きく表現することを虚像表現と言います。極端な例では「スーパーリアリズム」の絵画などがそれにあたります。鑑賞する距離が極端に遠い壁画や天井画などは実寸より大きく描くことがあります。

石膏デッサン1
(木炭紙・木炭・チャコールペンシル)

石膏デッサン2
(画用紙・鉛筆/
20代生徒作品)

石膏デッサン3
(画用紙・鉛筆/
20代生徒作品)

石膏デッサン4
(画用紙・鉛筆/
20代生徒作品)

石膏デッサン5
(画用紙・鉛筆
40代生徒作品 )

 
 

中間紙によるデッサン(木炭・チャコールペンシル・白チョーク)

白い紙に描く場合は紙の地色を残して明部を表現しますが、この中間色のトーンのある紙では明部に白を置くので絵具による仕事に近く、デッサンと油絵(グリザイユ)をつなぐ重要な役割を担います。

油絵基礎参考作品

【グリザイユ】(30代生徒作品)
・ アイボリーブラック
・ シルバーホワイト
(+ブルーブラック)
明暗法を施したデッサンを油絵に置き換えます。造形の様々な問題をシンプルな理論と方法で解決していく第1歩となるものです。遠近法や明暗法による奥行きはデッサンの段階で解決できますが、油絵独特の物理的なボリューム表現(筆触、タッチの方向、透明・不透明など)はこの段階でも十分身につけることが可能です。
※このグリザイユはモノクロームの作品として完結した作品であり、上塗りを想定したエボウシュとは区別されます。(グリザイユを下地として上塗りすると彩度の高い絵具を使っても後々発色が鈍ることがあります。)

【エボウシュ】
・ローアンバー
・シルバーホワイト
作品全体を暖かい色調にしたい場合は暖色系の下塗りをします。寒色系の場合はコバルトブルーやウルトラマリンを使用します。油絵の透明性を考慮したオーソドックスな技法の一つで、最終的な仕上がりにも影響します。

【固有色の表現】
以下の基本色をもとにしながら、必要に応じて鈍い色は後で鮮やかな絵具に置き換えていきます。
・ 黄=イエローオーカー →カドミウムイエロー等
・ 赤=ライトレッド →カドミウムレッド等
・ 青=ウルトラマリン又はコバルトブルー
・ ローアンバー又はバーントアンバー
・ シルバーホワイト
( 20代生徒作品 )

 

 
様々な理論に基づく展開

 

ここでは現場でのスケッチを元に様々な理論と方法で再構成しています。
印象派からフォービスムまでは同じパレット(色数)を用い、原色を虹のようなグラデーションができるように順番に並べます。印象派と点描派では各色に白を加えてわずかな明暗差を再現しています。印象派では混色は主に画面上で行い、点描派やフォービスムでは主にパレット上で行います。色彩以外にも構図や形体の再構成を行っています。

 

風景スケッチ(原画)

暖色系の表現(暖かさ、高揚感など)

寒色系の表現(冷たさ、静けさなど)

印象派の手法による表現

点描派の手法による表現


19世紀ヨーロッパでは新たな絵画表現を求めて、光学・色彩学などの理論を元に、印象派・点描派・フォービスムといった鮮やかな色彩表現による絵画様式が誕生しました。日本で一般的に捉えられているような個人の自由な表現と言うよりは、それまでの権威的な様式転換を目的とした集団的な美術運動だったのではないでしょうか。キュビスムには数理や幾何学が、シュールレアリスムには心理学・精神分析学が大きく影響したように、西洋では新たな価値観の創出にあたり、常にその後ろ盾となる理論が求められました。

フォービスムの手法による表現

 

もっと自由に表現したい。好きな作家の絵のように描いてみたい。抽象画が描いてみたい。もっと本物そっくりに描きたい。どれも同じ自然で自由な衝動・発想ですよね。新しいとか古いとかは個人レベルでは必ずしも考える必要はないと思いますし、それが全ての価値基準とは限りません。上記の方法論はほんの一例であり強制でもありません。ここでは自分が必要だと思った時に求める知識や技術がそこにあることが大切だと考えています。私たちは基礎や理論は学べ得るもの、表現は自ら求めて探すものだと考えています。

生徒作品ギャラリー
●アートマスターズスクール展出品作品はこちら●


中間紙にデッサン

グリザイユ

固有色の表現



平面化した表現(70代生徒作品)

平面化した表現(60代生徒作品)

模写(20代生徒作品)

デッサン → エボウシュ → 完成(固有色の表現)(70代生徒作品)


公募展入選履歴
日洋展入選 一水会展入選 サロン・デ・ボザール展 奨励賞受賞

Tさん「食卓」F100

Iさん「遠近法のStudy」P80

Yさん「コモ湖 夏景」

     

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